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分散計算機

データを貼り付けるだけで、標本分散と母分散、それぞれが割る平方和、使われている除数、そして平方根を1回とるだけで得られる標準偏差まで表示します。

値はカンマ、スペース、改行のいずれかで区切ってください。小数点はピリオドです。

計算の対象
小数点

標本分散(s²)

27.4286

標本標準偏差(s): 5.23723

母分散(σ²)

24

平方和(SS)

192

除数

7

これらの数値を標本として計算しています。Excelでの同じ値:VAR.S。

このデータセットから求まるすべての統計量

標本標準偏差(s)

5.23723

母標準偏差(σ)

4.89898

合計

144

中央値

18.5

最小値

10

最大値

23

範囲

13

平均値の標準誤差

1.85164

変動係数

29.1%

計算の手順:平方和を組み立てる

値(xᵢ) xᵢ − x̄ (xᵢ − x̄)²
10 -8 64
12 -6 36
23 +5 25
23 +5 25
16 -2 4
23 +5 25
21 +3 9
16 -2 4
合計 0 192

除数は7なので、標本分散(s²) = 192 ÷ 7 = 27.4286です。その平方根5.23723が標準偏差です。

ばらつきを元の単位に戻したいときは、標準偏差計算機をご覧ください。

分散計算機。貼り付けたデータから標本分散(s²)と母分散(σ²)、平方和と除数を求めます。

分散計算機は、貼り付けた数値のばらつきを、元の単位を2乗した尺度で1つの数にまとめます。標本(n − 1)と母集団(n)のどちらで割るかを選ぶと、その分散と、割られた平方和、使われた除数、そして平方根をとった標準偏差が同時に出ます。

分散とは?平方和を除数で割った、2乗の単位のばらつき

分散とは、各値と平均の差を2乗して足し上げた平方和を、除数で割った値です。除数がnなら母分散(σ²)、n − 1 なら標本分散(s²)で、日本語の資料では後者を不偏分散と呼びます。どちらも単位は元のデータの2乗になります。NIST/SEMATECHのe-Handbook 1.3.5.6節「Measures of Scale」は標本分散を s² = Σ(Yᵢ − Ȳ)²/(N − 1) と書き、標準偏差の説明にかっこ書きで「the variance squares the units」と添えています。得点のデータなら分散は点²、部品の寸法ならmm²です。答案にも報告書にも出てこない単位で、だからこそ平方根をとった標準偏差が別に存在します。
何も入力しない状態で読み込まれているのは8個の値です。10, 12, 23, 23, 16, 23, 21, 16 で、平均は18。各値と18の差は −8, −6, +5, +5, −2, +5, +3, −2 で、2乗して足すと192になります。この192が3枚目のカードの平方和(SS)で、4枚目のカードには除数が入ります。標本(n − 1)のままなら除数は7で、192 ÷ 7 = 27.4286が先頭のカードの標本分散(s²)。隣のカードには同じ192を8で割った母分散(σ²)24が並びます。カードの下には1行だけ文章が出て、「これらの数値を標本として計算しています。Excelでの同じ値:VAR.S。」と、いま割っている除数と表計算ソフトの関数名を名指しします。
2乗のままの値に名前と居場所があるのは、2乗した尺度でしか成り立たない足し算があるからです。独立した量の分散は足せます。上の8個と同じばらつきを持つ部品を2つ重ねると、合計のばらつきは分散で 27.4286 + 27.4286 = 54.8572 になり、平方根をとって7.40656。標準偏差のほうを足した 5.23723 + 5.23723 = 10.47446 は、その1.41421倍、つまり√2倍です。分散を経由せずに標準偏差を足すと、41%大きいばらつきを見積もることになります。
日本語の資料を横に並べると、値より先に名前が食い違います。統計WEBの「18-4. 標本分散と不偏分散」は、標本分散を S² = (1/n)Σ(xᵢ − x̄)²、不偏分散を s² = [1/(n − 1)]Σ(xᵢ − x̄)² と書き分けています。つまり教科書の標本分散はnで割ったほうです。一方でExcelの解説記事は関数の側から名前を付けていて、ExcelCampはVAR.Pを「母集団を対象とする分散(標本分散)」、VAR.Sを「標本を対象とする分散(不偏分散)」と説明しています。このページのボタンは名前ではなく除数を書いているので、迷ったら4枚目のカードを見てください。7と出ていれば n − 1、8と出ていればnです。
値が2個以上あるデータで必ず成り立つ関係が1つあります。標本分散は母分散のちょうど n/(n − 1) 倍で、上の8個では 24 × 8 ÷ 7 = 27.4286。小さい数で割るほうが大きく出るので、標本分散が母分散を下回ることはありません。例外はすべての値が同じときで、平方和が0になり、どちらの分散も0になります。

分散の公式と、除数が n − 1 になる理由

s2=i=1n(xixˉ)2n1s^2 = \dfrac{\sum_{i=1}^{n}\left(x_i - \bar{x}\right)^2}{n - 1}
  • s2s^2 = 標本分散。標本(n − 1)を選んだときに先頭のカードに出る値で、単位は元のデータの2乗
  • σ2\sigma^2 = 母分散。同じ平方和を、除数をnにして割ったもの
  • SSSS = 平方和。平均との差を2乗して全部足した量で、3枚目のカードに出ます
  • xix_i = データのi番目の値
  • xˉ\bar{x} = 平均。値の合計を個数で割ったもの
  • nn = データの個数
  • n1n - 1 = 標本を選んだときの除数。4枚目のカードに「除数」として出ます
母集団の式は除数だけが違います。
σ2=i=1n(xixˉ)2n\sigma^2 = \dfrac{\sum_{i=1}^{n}\left(x_i - \bar{x}\right)^2}{n}
どちらも割る相手は同じで、その相手にも名前があります。
SS=i=1n(xixˉ)2SS = \sum_{i=1}^{n}\left(x_i - \bar{x}\right)^2
既定の8個ではSSが192なので、標本分散は 192 ÷ 7 = 27.4286、母分散は 192 ÷ 8 = 24です。平方根をとると5.23723と4.89898になりますが、そこまで進むと答えは標準偏差で、単位も元のデータに戻ります。
標本のときだけ除数が1つ減る理由は、引いている平均の出どころにあります。偏差を測る相手は母平均μではなく、その標本自身から計算した平均x̄です。x̄は平方和を最小にする点で、どんな定数cについても次が成り立ちます。
i=1n(xic)2i=1n(xixˉ)2\sum_{i=1}^{n}\left(x_i - c\right)^2 \geq \sum_{i=1}^{n}\left(x_i - \bar{x}\right)^2
等号はcがx̄と一致するときだけです。μは一般にx̄とずれているので、手元で計算できる平方和は、母平均から測った平方和より小さいほうに寄ります。その小さいほうをnで割れば、母分散を毎回いくらか小さく見積もることになります。不足の大きさは平均して次のとおりです。
E[SSn]=n1nσ2E\left[\dfrac{SS}{n}\right] = \dfrac{n - 1}{n}\,\sigma^2
足りないのはちょうど 1/n の分で、除数を n から n − 1 に替えると期待値がσ²と一致します。これがベッセルの補正です。統計WEBは同じことを推定量の言葉で書いていて、標本分散は一致推定量ではあるが不偏推定量ではなく、不偏分散は「一致性と不偏性をもつ」としています。
自由度の側から数えても同じ数になります。n個の偏差には「合計が0」という制約が1つあります。既定の8個で確かめると −8 − 6 + 5 + 5 − 2 + 5 + 3 − 2 = 0 です。7個決まれば8個目は自動的に決まるので、独立に動ける偏差は n − 1 個。4枚目のカードが「除数」という名前で自由度そのものを出しているのは、この数だからです。
奥村晴彦が公開しているノート「分散はnで割るかn-1で割るか」は、この判断をデータごとに迷わない側に固定していて、「つねに n − 1 で割ることをお勧めします(高校の教科書とは違う流儀です)」と書き、理由を「n − 1 で割る分散は,個数による偏り(バイアス)がないからです」と説明しています。同じノートは表計算の関数も対応づけていて、nで割る分散がVAR.P、n − 1 で割る分散がVAR.S、古い名前ではVARPとVARです。
補正が結果を動かすのは、nが小さいところだけです。値が2個なら分散は2倍になり、8個で+14.3%、100個では+1.0%。下の表がその効き方です。

除数を n − 1 にすると何%大きくなるか

データの個数(n)標本の除数(n − 1)標本分散 ÷ 母分散標準偏差の比
212.000(+100%)1.414(+41.4%)
541.250(+25%)1.118(+11.8%)
871.143(+14.3%)1.069(+6.9%)
1091.111(+11.1%)1.054(+5.4%)
30291.034(+3.4%)1.017(+1.7%)
100991.010(+1.0%)1.005(+0.5%)
1,0009991.001(+0.1%)1.0005(+0.05%)

用語の整理:名前が2通りあるものを含めて

分散(s²・σ²)

平方和を除数で割った値。既定の8個では標本分散が27.4286、母分散が24です。単位は元のデータの単位の2乗になります。

平方和(SS)

Σ(xᵢ − x̄)²、つまり平均との差を2乗して全部足した量。既定の8個では192で、3枚目のカードに出ます。2つの分散が共通して割る相手です。

除数(自由度)

平方和を割る数。標本なら n − 1、母集団ならnで、8個のデータなら7か8です。2つの答えの違いはこの1か所だけから生まれます。

不偏分散

平方和を n − 1 で割った分散。期待値が母分散に一致します。このページの「標本分散(s²)」と同じ値で、ExcelのVAR.Sが返すのもこちらです。

標本分散

呼び名が2通りある用語。日本語の教科書ではnで割った分散を指すことが多く、この場合はこのページの母分散と同じ式です。ExcelのVAR.S側を「標本分散」と書く資料もあるので、式の分母で確認するのが確実です。

ベッセルの補正

除数を n から n − 1 に替えること。標本平均から測った平方和が、母平均から測った平方和より小さくなる分を打ち消します。

分散の加法性

独立した量の合計の分散が、それぞれの分散の和に等しくなる性質。標準偏差には対応する規則がないので、合成はいったん分散に移して行います。

二乗和平方根(RSS)

加法性を設計の現場で使う形。部品ごとの分散を足してから、最後に1回だけ平方根をとる計算で、累積公差の見積もりに使われます。


分散のままで進む場面:合成、公差、分散分析

説明のための1文に載るのは、ほとんどの場合標準偏差です。分散が主役になるのは、その数字のあとに文章ではなく計算が続くときで、そこで平方根をとると手順そのものが壊れます。
独立した量の分散は足せます。サイバネットが公開している公差解析の入門記事は、分散の加法性を「各変数の合計の分散の値は、各変数の分散の和に等しい。」と書き、成り立つ条件として「各変数が独立していること」と「各変数の合計は線形表現の式で表される。」の2つを挙げています。OPEO折川技術士事務所の解説は、この法則が「母集団の確率分布形態(正規分布、一様分布など)によらず成立します」と付け加えています。
Var(X1+X2++Xn)=Var(X1)+Var(X2)++Var(Xn)\mathrm{Var}(X_1 + X_2 + \cdots + X_n) = \mathrm{Var}(X_1) + \mathrm{Var}(X_2) + \cdots + \mathrm{Var}(X_n)
機械設計ではこの足し算に二乗和平方根(RSS)という名前が付いていて、累積公差の見積もりに使われます。部品ごとの分散を足して、平方根は最後に1回だけとります。公差を全部足すワーストケースより狭い幅が出るのは、足し算を2乗の尺度で済ませているからです。
分散分析は最後まで2乗の単位のままです。平方和を自由度で割った商が平均平方で、これが母分散の推定値にあたります。3枚目のカードの平方和と4枚目のカードの除数は、その2つの数です。群間の平方和と群内の平方和をそれぞれの自由度で割り、2つの商を比べる手順のどこにも標準偏差は出てきません。
単位を替えたときの動き方も2乗です。
Var(aX+b)=a2Var(X)\mathrm{Var}(aX + b) = a^2\,\mathrm{Var}(X)
mで測った列をcmに直すと分散は10,000倍になり、データの形は何も変わりません。この性質があるおかげで、全体の分散を要因ごとに分けて「測定者のばらつきが全体の何%」と割合で書けます。標準偏差から取った割合を足しても、全体には戻りません。

計算例:カードに出る数字で確かめる

平方和192と除数7:既定の8個をそのまま読む

データセットの欄には 10, 12, 23, 23, 16, 23, 21, 16 が入っています。標本(n − 1)のまま読むと、先頭のカードが標本分散(s²)27.4286、その下に添えられるのが標本標準偏差(s)5.23723、隣のカードが母分散(σ²)24。3枚目が平方和(SS)192、4枚目が除数7です。カードの下の1行は「これらの数値を標本として計算しています。Excelでの同じ値:VAR.S。」。その下の「このデータセットから求まるすべての統計量」には9つのタイルが並びます。標本標準偏差5.23723、母標準偏差4.89898、合計144、中央値18.5、最小値10、最大値23、範囲13、平均値の標準誤差1.85164、変動係数29.1%です。開閉できる「計算の手順:平方和を組み立てる」を開くと、列は「値(xᵢ)」「xᵢ − x̄」「(xᵢ − x̄)²」の3つで、10の行が −8 と64、12の行が −6 と36、23の行が +5 と25。最後の「合計」の行に192が入り、表の下に「除数は7なので、標本分散(s²) = 192 ÷ 7 = 27.4286です。その平方根5.23723が標準偏差です。」と出ます。

除数を8に替えると、分散がちょうど24になる

「母集団(n)」のボタンを押すと、先頭のカードが母分散(σ²)24に替わり、添え書きが母標準偏差(σ)4.89898、隣のカードに27.4286が移ります。3枚目の平方和192は動きません。動くのは4枚目で、7が8になります。下の1行はVAR.Pを指すようになり、手順の表の説明文は「除数は8なので、母分散(σ²) = 192 ÷ 8 = 24です。その平方根4.89898が標準偏差です。」に書き替わります。この8個が除数の話に向いているのは、192が8で割り切れて24という整数になるからです。7で割った27.4286と並べれば、除数を1つ減らすだけで分散が14.3%大きくなることが、丸めの入らない形で見えます。統計量の9つのタイルは1つも動きません。2つの標準偏差はどちらも常に並んでいますし、合計も中央値も範囲も除数に左右されないからです。

部品を2つ重ねる:分散は足せて、標準偏差は足せない

1つの部品の厚みを8回測って、既定の8個と同じばらつきだったとします。標本分散は27.4286、標本標準偏差は5.23723です。同じ工程で作った部品を2つ重ねたときの合計の厚みは、2つの寸法が互いに影響しないなら、分散が 27.4286 + 27.4286 = 54.8572 になり、その平方根7.40656が合計のばらつきです。標準偏差を足した 5.23723 + 5.23723 = 10.47446 は7.40656の1.41421倍、つまり√2倍で、41%大きい見積もりになります。ばらつきの等しい2つを重ねる場合が、この食い違いのいちばん大きい形です。設計の現場ではこの手順を二乗和平方根(RSS)と呼び、公差を全部足すワーストケースの代わりに使います。足せるのは分散の段階だけなので、途中で平方根をとらず、最後の1回にまとめます。

小数の測定値5個:8.628を4で割るか5で割るか

2.5, 3.1, 4.8, 5.2, 6.0 を貼り付けると、平方和は8.628、除数は4で、標本分散は 8.628 ÷ 4 = 2.157、隣のカードの母分散は 8.628 ÷ 5 = 1.7256です。添え書きの標本標準偏差は1.46867、母標準偏差は1.31362。残りのタイルは合計21.6、中央値4.8、最小値2.5、最大値6、範囲3.5、平均値の標準誤差0.65681、変動係数34%です。この2.157を上の8個の27.4286と並べても意味はありません。分散は単位の2乗で動くので、4.32あたりに集まる測定値と18あたりに集まる得点では桁が違うだけです。比べられる形にしたのが変動係数で、34%と29.1%。生の分散では大差に見えるものが、平均に対する割合ではほぼ並びます。

4枚のカードと、列の貼り付け方

先頭のカードは選んでいる除数の分散で、標本(n − 1)なら「標本分散(s²)」、母集団(n)なら「母分散(σ²)」という名前が付きます。その下の行には平方根をとった標準偏差が添えられ、隣のカードには同じデータをもう一方の除数で読んだ分散が出ます。ボタンを触らなくても2つの答えが同時に見えるのはこのためです。3枚目のカードは平方和(SS)、4枚目は除数で、答案や検査記録で並べて書かされるのはこの2つです。
このページには平均とデータの個数のカードがありません。その2枚は標準偏差計算機のほうに置いてあります。平均は手順の表から戻せます。どの行でも、値からその行の差を引いた数が平均です。個数は除数から読めて、母集団(n)なら除数がそのまま個数、標本(n − 1)なら1を足した数です。
「データセット」の欄は表計算ソフトの列をまとめて受け取ります。上限は5,000文字で、数百個の数字が入る量です。改行も区切りとして扱うので、ExcelやGoogleスプレッドシート、CSVからそのままコピーできます。欄の下には「値はカンマ、スペース、改行のいずれかで区切ってください。小数点はピリオドです。」という案内が出ています。
欄の下にはボタンの組が2つあります。ひとつは「標本(n − 1)」と「母集団(n)」で、先頭のカードに出る分散と、名指しされるExcel関数が変わります。もうひとつが「1.5」と「1,5」で、こちらはカンマを小数点と読むか区切りと読むかを決めます。
1. 「1.5」のとき、区切りになるのはスペース、改行、タブ、セミコロン、そしてカンマです。桁区切りは認識しないので、1,234.5 は1と234.5の2つに割れ、その分だけ除数のカードが増えます。
2. 「1,5」に替えると、カンマは小数点になって区切りをやめます。区切るのはスペース、改行、タブ、セミコロンだけになり、ピリオドは桁区切りの側に回るので 1.234,5 は1234.5という1つの値になります。たとえば 1,5 2,7 3,1 は、「1,5」側なら3個ぶんの除数2、「1.5」側なら6個ぶんの除数5になります。日本語の環境の小数点はピリオドなので、このページは「1.5」の側で開きます。
マイナスの符号と指数表記はどちらも残ります。1.5e3 は1500として読まれます。数値でない入力は結果の下に「次の入力は数値ではないため除外しました:」という行で名前が挙がり、多いときは最初の5つだけを並べます。10, abc, 12, , 16 なら集計されるのは3個で、abcが名前で画面に出て、空欄は静かに読み飛ばされます。手順の表は最初の30行までを並べ、何個のうち何個を出しているかを表の下に書きますが、「合計」の行はいつでもデータ全体の平方和です。

答えが変わってしまう取り違え

  • 分散を元の単位のまま書く。 既定の8個の27.4286は点²で、点ではありません。文章に載せる数字は平方根の5.23723点のほうです。2乗の単位のまま書くと、値の大きさを平均18と見比べる手がかりが消えます。
  • 標準偏差を足して合成する。 独立した2つの部品なら 5.23723 + 5.23723 = 10.47446 ではなく、27.4286 + 27.4286 = 54.8572 の平方根7.40656です。前者は必ず大きく出て、2つのばらつきが等しいときにいちばん大きくずれます。
  • 名前で除数を決める。 「標本分散」がnで割ったほうを指す資料と、n − 1 で割ったほうを指す資料が同時に存在します。除数のカードが7か8かを見れば、どちらの流儀で書かれた文章を読んでいても迷いません。
  • 除数のカードをデータの個数と読む。 標本(n − 1)では7と出ていても、読み込まれた値は8個です。1を足すか、母集団(n)に切り替えて確かめてください。
  • 偏差を丸めてから2乗する。 小数第2位で丸めた偏差は、2乗と割り算を通って誤差を持ち越します。カードが有効数字6桁で出るのは、丸めを最後の1回にできるようにするためです。
  • 平均を書き留めずに閉じる。 このページは平均のカードを持ちません。分散だけを持ち帰ると、その値が大きいのか小さいのかを後から判断できなくなります。手順の表から戻せますが、貼り付けた列と一緒に平均も控えておくほうが早いです。

説明できる分散にするために

  • 除数のカードを最初に読む。 貼り付けが思ったとおりに分かれたかを確かめる、いちばん速い方法です。標本(n − 1)なら想定した個数より1つ少ない数、母集団(n)なら個数そのものが出ます。多すぎるときは、小数点にしたかったカンマが区切りとして働いています。
  • 合成するときは分散のまま足し、平方根は最後に1回だけとる。 機械設計で二乗和平方根(RSS)や累積公差と呼ばれている手順がこれです。部品ごとの分散を足してから1回だけ平方根をとると、公差を全部足すワーストケースより狭い幅になります。
  • 分散には必ず単位を添える。 得点なら27.4286点²、寸法ならmm²と書いておけば、読み手が平方根をとる前の数字だと分かります。単位を落とすと標準偏差として引用され、既定の8個なら27.4286と5.23723の差になります。
  • 資料の「標本分散」を鵜呑みにせず、式の分母を見る。 違うのは分母がnか n − 1 かの1か所だけで、名前は書き手の流儀です。
  • nが小さいときだけ除数の選択を気にする。 8個では標本分散が母分散の1.143倍(+14.3%)ですが、100個では1.010倍(+1.0%)です。数十個以上あるなら、どちらを選んでも結論は動きません。
  • マイクロソフトの例題で除数の効きを確かめる。 VAR.Sの日本語ドキュメントは、同じ10個の数値でVAR.Sが754.27、VAR.Pが678.84になる例を載せています。手元のシートでこの2つを並べると、除数を選ぶという行為が何をしているのかが数字で見えます。

分散の計算についてよくある質問

クラス全員の点数のように全部そろっているデータでも、n − 1 で割るべきですか?

そのデータについて報告するだけなら母集団(n)です。40人のクラス全員の点数が手元にあり、言いたいのがそのクラスのばらつきなら、集団はそこで閉じています。これが記述統計の使い方です。同じ40人を「例年の生徒」の一部と見て、来年のクラスにも通じる話をしたいなら標本(n − 1)で、こちらが推測統計です。奥村晴彦のノートは迷いを先に断つ側に立って、「つねに n − 1 で割ることをお勧めします(高校の教科書とは違う流儀です)」と書いています。データが増えるほど2つの差は縮み、100個では1.0%です。

高校で習った分散はnで割っていました。このページの標本分散(s²)とは別のものですか?

同じ平方和を違う数で割ったものです。高校の教科書はデータそのものを記述するので、192のような平方和を個数nで割ります。その値はこのページにも出ていて、隣のカードの母分散(σ²)24のほうです。標本分散(s²)27.4286は同じ192を7で割ったもので、母集団の分散を推定するときの形です。答案の答えと合わせたいなら「母集団(n)」のボタンを押してください。除数のカードが8に替わります。

エクセルの解説記事ではVAR.Pを「標本分散」と呼んでいます。名前が逆ではありませんか?

呼び名は資料によって入れ替わります。統計WEBは標本分散を (1/n)Σ(xᵢ − x̄)²、不偏分散を [1/(n − 1)]Σ(xᵢ − x̄)² と書き分け、ExcelCampはVAR.Pを「母集団を対象とする分散(標本分散)」、VAR.Sを「標本を対象とする分散(不偏分散)」と説明しています。このページの「標本分散(s²)」は除数が n − 1 のほうで、日本語でいう不偏分散、ExcelのVAR.Sと同じ値です。名前ではなく除数のカードで確かめるのがいちばん速く、7なら n − 1、8ならnです。

分散の単位は何になりますか?

元のデータの単位の2乗です。得点なら点²、寸法がmmならmm²、金額が円なら円²になります。読み手が想像できる単位に戻すには、平方根をとって標準偏差にします。

分散は足し算できますか?

独立した量なら足せます。サイバネットの公差解析の入門記事は「各変数の合計の分散の値は、各変数の分散の和に等しい。」と書き、条件として各変数が独立していることと、合計が線形の式で表されることを挙げています。既定の8個と同じばらつきの部品を2つ重ねれば 27.4286 + 27.4286 = 54.8572、その平方根は7.40656です。標準偏差を足した10.47446は41%大きく、この差は分散を経由するかどうかだけで生まれます。

分散が負になることはありますか?

ありません。2乗した数を足して正の数で割るので、0か正の値です。0になるのはすべての値が同じときで、平方和が0になり、標本分散も母分散も0になります。

分散が不偏なら、その平方根も不偏ですか?

そうはなりません。除数を n − 1 にすると分散の期待値は母分散に一致しますが、平方根をとった値の期待値は母標準偏差より少し小さく出ます。平方根が直線ではないためで、必要な補正の大きさは分布によります。医療統計の解説サイト「いちばんやさしい、医療統計」も、不偏分散から不偏標準偏差に進むときの注意点を別の節に置いています。実務では小さなずれとして扱われますが、nが小さいほど大きくなります。

除数のカードが7で、貼り付けたのは8個です。どちらが正しいのですか?

どちらも正しく、7は個数ではなく除数です。標本(n − 1)を選んでいるあいだ、このカードは個数から1を引いた数を出します。個数を知りたいときは1を足すか、「母集団(n)」に切り替えてください。同じカードが8になります。貼り付けが思ったとおりに分かれたかを見るには、この数と元の行数を見比べるのがいちばん速いです。

除数が0と出て、標本分散がダッシュになりました。

値が1つしかないときの表示です。n − 1 が0になって割り算そのものが存在しないので、標本分散はダッシュになり、「標本分散には少なくとも2つの値が必要です。値が1つのときは、母集団の統計量だけが求まります。」という行が出ます。母分散のほうは0です。1つの値にばらつきはないという意味で、ダッシュとは別の答えとして扱っています。

桁の大きい数値でも分散は正しく出ますか?

平均を先に確定してから、各値との差を2乗して足す2回の走査で計算しています。1回で済ませる Σx² − (Σx)²/n の形は、値が大きくて互いに近いデータで上位の桁が消え、分散が負の値になることがあります。NISTが検証用に公開しているNumAcc4は、10000000.2の周りに1,001個の値が並ぶデータで、認証値から求まる分散は0.01。1回で済ませる形が壊れるのはこういう場面です。カードは有効数字6桁で出るので、小数第2位までの表計算の画面と突き合わせるときは桁をそろえてください。

分散の値をそのまま報告書に書いていいですか?

読み手に渡す1文には向きません。27.4286点²という単位は誰も頭に浮かべられないので、文章には平方根の5.23723点を平均と並べて書きます。分散のまま残す意味があるのは、合成や分散分析のように次の計算が2乗の単位で続く場合です。単位や平均が違うデータを見比べたいときは変動係数で、既定の8個では29.1%。生の分散は比べられる形の数字ではありません。

出典・参考文献

  1. NIST統計参照データセット(StRD)「Univariate Summary Statistics」——平均・標本標準偏差・ラグ1自己相関の認証値つきで公開されている9つのデータセットで、数値計算の難しさの順に並んでいます。認証された標準偏差を2乗すれば分散の照合にも使え、この計算機の計算部分はその値と1つずつ突き合わせて検証しています。
  2. NIST StRDのデータセット NumAcc1 ——8桁の整数3つ(10000001, 10000003, 10000002)で、認証値は標本平均がちょうど10000002、標本標準偏差がちょうど1、したがって標本分散もちょうど1です。桁の大きい値が近く並ぶときの精度落ちを見つけるために作られたデータで、この計算機は両方の値をそのまま返します。
  3. NIST StRDのデータセット NumAcc4 ——10000000.2 の周りに並ぶ1,001個の値で、違うのは末尾の小数1桁だけ。認証済みの標本標準偏差はちょうど0.1で、そこから求まる分散は0.01です。1回で済ませる Σx² − (Σx)²/n の形では分散が負の値になり、その平方根が数値ではなくなる場面で、この計算機がデータを2回たどる理由がここにあります。
  4. NIST StRDのデータセット Michelso ——マイケルソンの実験による光速の測定値100個で、認証済みの平均は299.8524、認証済みの標本標準偏差は0.0790105478190518です。作られたデータに対する実測データ側の例で、カードが小数第2位ではなく有効数字6桁で数字を出す理由になっています。
  5. NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods 1.3.5.6節「Measures of Scale」——このページが従う分散と標準偏差の定義で、どちらも除数を n − 1 として書かれています。分散が単位を2乗してしまうという指摘(「the variance squares the units」)も同じ節にあります。
  6. マイクロソフト「VAR.S 関数」——この計算機の標本側が一致する表計算関数のドキュメントで、「引数を母集団の標本であると見なします」、「指定する数値が母集団全体である場合は、VAR.P 関数を使って分散を計算します」と書かれています。日本語版の同じページは書式を VAR.S(数値 1,[数値 2],...) と示し、「空白セル、論理値、文字列、またはエラー値はすべて無視されます」と明記。例題では同じ10個の数値でVAR.Sが754.27、VAR.Pが678.84になります。

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